2017年4月8日土曜日

会話・のようななにか

「こんにちは」
「こんにちは。でも私はあなたを知らないよ」
「私だって」
「じゃあ初めまして、かな」
「わざわざ言い直さなくていいんじゃない?こんにちは、だってちゃんとした挨拶だよ」
「でも、話す態度が違うでしょう」
「何が違うの?知っていようが知っていまいが、どうせ他の人だよ」
「知っていれば、そんなに気を遣わなくても済む」
「そんなに、ってことは必ず少しは気を遣わなくちゃいけないじゃん」
「まあね」
「だったら同じだよ。何を考えているか分からない、他人」
「傷つけないように気を遣って、傷つけられないように気を遣わないといけない?」
「そうそう、そういう他人。同じような生物で、同じような言葉を話しているだけ」
「うーん、この考えは、少し寂しいね。心が冷たくなってきた」
「心が冷たくなってるなんてそれこそ分からないよ」
「まあ……。でも、そんな気がするよ」
「気のせいでしょ」
「言われてみると、自信が無くなってきたよ」
「自信なんてなくったっていいよ。自分がそう思うならそれでいい」
「手のひら返しじゃないか。さんざん私を非難したくせに」
「非難なんてしてないよ。こうも考えられないか、っていうだけ」
「それを非難っていうのさ」
「ちょっと提案しただけじゃん」
「私は自分大好きだから。人に口出しされるのは好きじゃない」
「あれれ、そうなんだ。ふーん」
「なに」
「自分はぺらぺら話すのに、人に話されるのは嫌なんて、とんだ自己チュー」
「それが普通でしょ。みんな多かれ少なかれそんなものさ」
「ほらね、やっぱりみんな一緒……」

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